月別アーカイブ: 2018年1月

山崎50年、3,250万円で落札される

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現サントリーチーフブレンダー・福與伸二氏のサイン入りの物が出品された。source : sothebys.com

今月27日にサザビーズ・香港で行われたオークションで、2011年に発売された「山崎50年」が2,337,000香港ドル、およそ3,250万円で落札された。出品者、落札者は非公表。
「山崎50年」はこれまで2005年に50本、2007年に50本、2011年に150本の計250本のみが販売されており、販売価格はいずれも100万円だった。
2016年10月に香港のポリー・オークション(Poly Auction)で、2005年に販売された内の1本が1,000,300香港ドル(当時のレートで約1,340万円)で落札されており、これが今まで山崎50年の最高額だったが、今回の落札はこの記録を大幅に更新したことになる。

ウイスキー1本当りの史上最高額は、今回と同じサザビーズ・香港の2014年1月のオークションで記録された「マッカラン・M(The Macallan M)」の落札額490万香港ドル(約6,566万円)だが、このマッカランは6リットルのデキャンタ入りの物なので、容量当りでは今回の山崎50年が史上最高額となる(山崎50年は700ml)。

The Yamazaki Single Malt Whisky Aged 50 Years NV | Sothebys

グレンモーレンジ・プライベート・エディション、第9弾はライカスクウイスキー

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source : glenmorangie.com

グレンモーレンジより、プライベート・エディション第9弾となる「グレンモーレンジ スピーオス(Glenmorangie Spìos)」がリリースされた。
アメリカのライ・ウイスキーの樽で熟成したもので、”spìos”は”spice”を意味するスコットランド・ゲール語。
NAS、ノンチルフィルタード、46% ABVで、価格は£79前後となっている。

Private Edition 9: Spìos | Glenmorangie
Glenmorangie Spìos is 9th Private Edition | Scotchwhisky.com

本坊酒造「シングルモルト駒ヶ岳 ダブルセラーズ」リリース

本坊酒造より、マルス信州蒸溜所とマルス津貫蒸溜所でそれぞれ熟成させた、マルス信州蒸溜所のモルト原酒のヴァッティングによる「シングルモルト駒ヶ岳 ダブルセラーズ Bottled in 2018」が発売される。
熟成にはバーボンバレルとアメリカンオークの新樽を使用。
46% ABV、700ml、税込8,100円で、2月7日より3,800本限定で販売。

「シングルモルト駒ヶ岳 ダブルセラーズ Bottled in 2018」2月上旬より新発売(PDF) | 本坊酒造

2018年上半期 国内リリース一覧

ディアジオ、スコッチ・ウイスキー法の改定を模索か?(その1)

ウォールストリートジャーナル(WSJ)が1月24日に酒造大手ディアジオ(Diageo)に関する興味深い報道を行った。

If You’re a Purist About Scotch Whisky You Might Find This Hard to Swallow | The Wall Street Journal

同紙はディアジオに関する複数の機密文書を入手したらしく、これによるとディアジオは極秘裏に社内チームを組織してスコッチ・ウイスキー法の改定の可能性を模索させているらしい。
またディアジオはこの謀略?の一環として、業界団体であるスコッチ・ウイスキー協会(Scotch Whisky Associtation / SWA)に対して2種の新商品の計画の承認を求め、そして拒否されたようだ。
これらの計画の1つはディアジオが所有するテキーラ”Don Julio”の樽を用いた「テキーラバレルフィニッシュ」のウイスキー。
もう1つは既存のスコッチ・ウイスキーのブランド名(ジョニーウォーカーか?)を使った、”Scotch Whisky Infusions”と称するフレーバード・ウイスキーや度数40%未満のウイスキーだという。

一度熟成させたウイスキーを別の樽に移し替えて再度熟成させる、いわゆる「フィニッシュ」と呼ばれる手法は既にスコットランドの多くの蒸溜所で行われており、これには一般的なシェリー樽を始めとして、ワイン樽やラム樽、ブランデー樽など多種多様な樽が使用される。
こういった現状を考えればテキーラバレルフィニッシュだけが問題になるとも思えないのだが、どうやらSWAの考えは違うらしい。

もう1つの”Scotch Whisky Infusions”についてはまず「スコッチ・ウイスキー」の定義を見ておく必要がある。

現在「スコッチ・ウイスキー(Scotch Whisky)」を名乗る為には英国法である”The Scotch Whisky Regulation 2009″(俗にこれをスコッチ・ウイスキー法と言う)中で定められた要件を満たす必要があり、この要件をまとめると以下のようになる。

1. スコットランド内の蒸溜所で
2. 水とモルト(他の全粒の穀物を加えてもよい)を原料に
3. 度数94.8%を上限に蒸溜し
4. 700リットル以下のオーク製の樽を使い
5. スコットランド内で3年以上熟成させ
6. 水とカラメル着色料以外は添加せず
7. 度数40%以上で出荷する

つまり、添加物を加えることになるフレーバード・ウイスキーや、40%を下回る度数は「スコッチ・ウイスキー」としてはレギュレーション違反となるわけだ。
だが、ディアジオの計画はあくまでこれを「既存のスコッチ・ウイスキーのブランド名で」販売する事であり、商品の分類を「スコッチ・ウイスキー」ではなく「リキュール」などとして販売すればそもそもスコッチ・ウイスキー法の適用外のはず。
ならば”Scotch Whisky” Associationにお伺いを立てずともよさそうなものだが、残念ながらそうしたところでSWAに槍玉にあげられるのは目に見えている。
SWAには管轄外の場所にまで口を出した前例があるのだ。

“Scotch Whisky Infusions”のようなフレーバード・ウイスキーはディアジオ独自のアイデアでは無く、大西洋の向こう側、アメリカには以前より存在している。
特に近年になって「レッドスタッグ by ジムビーム」や「ジャックダニエルテネシーハニー」のようなフレーバード・バーボンが相次いで発売されて目覚ましい成功を収めており、さらにこれらの商品はバーボンの新規顧客開拓に大きな役割を果たしている。
スコッチ・メーカーとしてはこれを見過ごす訳にはいかず、2013年にジョン・デュワー&サンズ(John Dewar & Sons)がディアジオに先駆けて「デュワーズ ハイランダー・ハニー」なる商品を発売した。
だが、この商品は分類をEUの基準に沿った「スピリッツ・ドリンク」とし、アメリカ市場のみでの販売であったのにも関わらず、ラベル表面に”Dewar’s Blended Scotch Whisky Infused With Natural Flavors”と印刷されているのに目をつけたSWAから、「これはスコッチ・ウイスキーなんかじゃありません」と判るようにしろと因縁をつけられる異議を唱えられる羽目になった。
(これが原因かは不明だが、ハイランダー・ハニーは現在終売となっている)

WSJやWhisky Advocate誌がディアジオの2商品の却下理由をSWAに問い合わせているが、SWAはいずれにも回答を拒否している。
代わりに一般論として「スコッチ・ウイスキーでは無い物をそうであると消費者がミスリードされる事があってはならない」とコメントしており、ハイランダー・ハニーへの異議とも通じるこの論理が、少なくとも”Scotch Whisky Infusions”の却下理由ということになるのだろう。
だがこれは建前であって、本音は別にあるように思われる。
それは単にSWAがWSJの原記事のタイトルにもあるような純粋主義者(Purist)であり、”Scotch Whisky Infusions”やテキーラバレルフィニッシュが彼らの主義には沿わない物だからではないだろうか。

このご時世、純粋主義とはいささか物騒な単語にも聞こえるが、ウイスキーにおける純粋主義者とは要は「なにも足さない、なにも引かない」のを至上とするような人々の事だ。
加水すら快く思わない彼らにとっては、神聖なるウイスキーに蜂蜜を加えるなど冒涜行為にも等しいというわけだ(当然アメリカにもフレーバード・バーボンをバーボンとは認めない人達がいる)。
また彼らは伝統を変えるのも嫌う。
確かにシェリーを初めとするワイン樽、ラム樽などは19世紀からスコッチ・ウイスキーの貯蔵・輸送に用いられてきた歴史があり、バーボン樽も20世紀前半から熟成に使用されているが、テキーラ樽は違う。
テキーラバレルを拒む理由はつまり「前例が無いから」からなのだろう。
(15世紀に誕生したとされるスコッチ・ウイスキーは元々蜂蜜やハーブなどで味付けしたスピリッツで、樽で熟成させるようになったのは19世紀前半になってからだという事実は無視することにしているらしい)

だがディアジオにも、こういった商品を市場に投入したい理由がある。

昨今の世界的なウイスキーブームを背景にスコッチ・ウイスキーも順調に売り上げを伸ばしてはいるものの、他の主要国(アメリカ、カナダ、アイルランド、日本)のウイスキーの伸びがそれを上回る為、10年前には60%を超えていた世界のウイスキー市場(インドなどで生産されるウイスキーと称するラムは除く)でのスコッチ・ウイスキーのシェアは現在49%にまで落ち込んでいる。
これはスコッチ・メーカー、特にスコッチ・ウイスキーを大黒柱とする巨人・ディアジオにとっては大問題だ。
新規顧客開拓が期待できる”Scotch Whsiky Infusions”のような商品は是が非でもラインナップに加えたいところだろうし、テキーラバレル使用のアイデアも近年の世界的なテキーラ人気と無関係では無いだろう(昨年ディアジオはジョージ・クルーニーが設立したプレミアム・テキーラ”Casamigos”を10億ドルで買収している)。

しかしこういった新商品計画の度に足止めを食らってはシェア回復どころの話では無い。
そこでSWAに横槍を入れる口実を与えぬよう、法を改定してスコッチ・ウイスキーの適用範囲を拡大しておこうという話になるわけだ。
当然ながら法の改定など容易な話では無いが、さらにそれを望むのがディアジオであるとなると、彼らはあるジレンマに直面することになる。

(その2へ続く)

ジャックダニエル「桜デザインボックス 2018」リリース

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Source : asahibeer.co.jp

アサヒビールより、日本限定デザインのジャックダニエル「ジャックダニエル ブラック 桜デザインボックス 2018」が発表された。
40% ABV、700ml、オープン価格で2月20日より販売される。

『ジャック ダニエル ブラック 瓶700ml 桜デザインボックス 2018』新発売 | アサヒビール株式会社

商品名にもある通り、「桜デザイン」なのは化粧箱だけ。
ボトルも同じデザインにはできなかったのだろうか・・・

2018年上半期 国内リリース一覧

SMWSのウイスキー、バーでの提供は違法です(カナダ)

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悲劇の舞台の1つ、バンクーバーの”Fets Whisky Kitchen” / Source : scotchwhisky.com

今月現地時間19日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のバンクーバーとヴィクトリアにある4軒のバーに政府当局の職員が一斉に立ち入り、独立系ボトラー、スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティー(The Scotch Malt Whisky Society / SMWS)によるボトル数百本、金額にして約10万カナダドル(約887万円)分が押収されるという痛ましい事件があった。

カナダでは多くの州で酒類の販売に対して厳しい規制があり、政府の認可を受けた数少ないボトルのみが流通する。
また個人では(合法なボトルであれば)どこで購入しても構わないが、バーなどの飲食店は政府直轄の販売店からのみの購入が義務付けられている。
ところがSMWSのボトルは政府系の店では扱いが無く民間の店でのみ販売されており、今回立ち入りを受けた4軒のバーは当然ながら民間の販売店を通じて仕入れていた為、御用となったようだ。

4軒のバーはいずれもSMWSのパートナー・バーで、その内の1軒、バンクーバーの”Fets Whisky Kitchen“では計242本・約4万カナダドル(約355万円)分のボトルが押収された。
SMWSカナダ支部は「禁酒法まがいのガサ入れが我々と家族経営の零細バーを攻撃した(意訳)」とする非難の声明をTwitterで表明している。

この立ち入りの影響で、19日から21日にかけて開催されたヴィクトリア・ウイスキー・フェスティバルで行われる予定だったSMWSのセミナーは中止。同じく政府系の店では扱いが無いスプリングバンク蒸溜所と独立系ボトラー・ゴードン&マクファイルも、フェスティバルへの参加を見合わせている。

なおブリッティシュコロンビア州の政府当局者は、今回の件については「通常の業務なのでコメントしない」としている。

Whisky Seized in Prohibition Style Raids | Scotchwhisky.com
Scotch Whisky Seized In ‘Prohibition Raids’ By Canadian Government | Forbes

change.orgで政府当局に対する署名活動実施中。
“Free The Whisky(ウイスキー返して!)” | change.org

サントリーHD、米国での生産拡大へ

サントリーホールディングスの新浪剛史社長が日本経済新聞の取材に対し、今後5年間で1千億円の投資を米国で行うと明らかにした。
投資は主にジム・ビームなどのバーボン生産施設の増強に当てられる。
また同氏は、この投資の決定の一因がトランプ大統領による大幅な法人税の減税であるとも明かしている。

サントリー 5年で1000億円米国に投資 ウイスキー生産増強 | 日本経済新聞