無名の2,000円スコッチが「世界のベストウイスキー」に選ばれる(フェイクニュース)

margot8yo

source : lidl.co.uk

先月末、米エスクァイアや英インディペンデント、英版ハフィントン・ポストなどのニュースサイトが、「クイーン・マーゴット 8年(Queen Margot 8 Years)」というブレンデッド・スコッチが英ウイスキー・マガジン誌の主催するワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2019で「ワールド・ベスト・ウイスキー」に選ばれた、とする報道を相次いで行った。
この「クイーン・マーゴット」、ドイツに本社置くディスカウント・スーパー・チェーン、リデル(Lidl)が£13.49、日本円にしてわずか2,000円程度で販売しているもので、これが並み居る強豪を抑えて世界中から集まった40人の専門家により「ワールド・ベスト」に選出されたとなれば快挙に違いなく、各ニュースサイトではもはやウイスキーに高い金を払う必要は無いといった論調でこのニュースを紹介していた。

だが残念な事にこのニュースは正確ではなく、報道後に米フォーブスが指摘したように、「クイーン・マーゴット」は今のところ熟成年数12年以下のブレンデッド・スコッチ・ウイスキーの部門においてベストに選出されたに過ぎない。
WWAは3段階に分けて審査を行っており、まず第1ラウンドで各国ごとのサブカテゴリのベストを、次の第2ラウンドでは各国のメインカテゴリ(シングル・モルト、ブレンデッド・ウイスキーなど)ごとのベストを、そして最終ラウンドでは世界全体でのメインカテゴリごとのベストをそれぞれ選出する。
「クイーン・マーゴット」はこの内の第1ラウンドを突破したところで、各ニュースサイトの報道は勇み足だったわけだ。

ただし「クイーン・マーゴット」はこの第1ラウンドで、スコッチとしてはトップの知名度を誇り、現地での価格は倍近い「ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年」を破っており、コストパフォーマンスに優れたウイスキーであるには違いないようだ。
そしてもちろん今月末に発表されるWWAの最終ラウンドの勝者にこの2,000円のスコッチが選ばれる可能性も残っている。

いずれにせよ、報道後(当然ながら)「クイーン・マーゴット」は売れに売れたそうなので、リデル社にとってWWAへのエントリー料(3万円弱)は非常に効率のいい投資になったと思われる。

なお、フォーブスの指摘を受けて、報道を行った各ニュースサイトの該当記事は現在修正されている。

Fake Whisky News: No, That Lidl Whisky Is Not ‘The Best In The World’ | Forbes.com
Queen Margot 8YO Blend Scotch Whisky | Lidl

第1ラウンドを突破しただけだと知っていても、この値段なら私もリデルへ行っていたと思います。

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