Ben Nevis Distillery
スコットランド・インヴァネスシャー、スコットランド最高峰ネヴィス山の麓フォート・ウィリアムに位置する蒸溜所。ハイランド地方に分類される。
歴史
1825年 ロング・ジョン・マクドナルド(“Long” John McDonald、身長が193cmだった事からこう呼ばれていた)が蒸溜所を設立。
1848年 ヴィクトリア女王が蒸溜所を訪問。
1856年 ロング・ジョン死去。息子のドナルド・P・マクドナルドが後を継ぐ。
1878年 需要拡大を受け蒸溜所の隣に新たにネヴィス蒸溜所を設立する。
1908年 ネヴィス蒸溜所閉鎖。以後熟成庫をベン・ネヴィスの物として使用。
1911年 「ロング・ジョン」ブランドをW・H・チャップリン(W. H. Chaplin & Co.)へ売却。
1938年 シーガー・エヴァンス(Seager Evans & Co.)がW・H・チャップリンを買収。
1941年 カナダの元密造酒業者にして富豪のジョセフ・ホブスがD・P・マクドナルド&サンズ(D. P. McDonald & Sons)より蒸溜所を取得。ネヴィス蒸溜所跡地はAssociated Scottish Distilleriesへ売却。
1955年 蒸溜所にカフェスチルを導入し、モルトとグレーンの両方を生産する蒸溜所となる。
1964年 ジョセフ・ホブス死去。
1978年 生産を停止。
1981年 ジョセフ・ホブス・ジュニアが蒸溜所をウィットブレッド(Whitbread & Co.)傘下のシーガー・エヴァンスへ売却。70年振りにベン・ネヴィスと「ロング・ジョン」が同じ組織の元に同居する事になる。
1984年 蒸溜所改築、カフェスチルは撤去されモルト原酒のみ生産を再開する。
1986年 蒸溜所を閉鎖。
1989年 ニッカが蒸溜所を買収。
1990年 蒸溜所を再開。
2001年 アサヒビールがニッカを完全子会社化。以後ベン・ネヴィスはアサヒビールの傘下にある。
王室への献上
ヴィクトリア女王が蒸溜所を訪問した1848年、ロング・ジョンはベン・ネヴィスのウイスキーの樽を時の皇太子(後のエドワード7世)が将来の成人の際に開けて楽しめるようバッキンガム宮殿へ献上したのだが、残念ながら王室からは特に(ロイヤル・ワラントが与えられるといったような)反応は無かったようだ。
尚、献上された樽のその後の運命は伝わっていない。
生産
シングル・モルトの他、ブレンデッド・ウイスキー「デュー・オブ・ネヴィス(Dew of Ben Nevis)」を手掛ける。また僅かながらヘビリーピーテッドの原酒も生産する。
ニッカは買収前からベン・ネヴィスよりモルトとグレーン原酒の買い付けを行っており、現在はニューメイクの75%をスコッチ・ウイスキーにはせず(スコットランドでは熟成させず)に日本へ出荷し、自らのブレンデッド・ウイスキーに用いている。
アルコール生産能力は年間200万リットル。
蒸溜所公式サイト: bennevisdistillery.com