Dalmore Distillery
スコットランド・ハイランド(行政区)、ダルモアに位置する蒸溜所。ハイランド地域に分類される。
“Dalmore”は”The Big Field(大草原)”を意味するゲール語”Dail Mòr”から。
歴史
1839年 アレクサンダー・マチソン(Alexander Matheson)により設立。
1867年 マッケンジー(Mackenzie)兄弟が蒸溜所の運営を任される。
1878年 マッケンジー兄弟が蒸溜所をリース。
1891年 ケネス・マチソン(Sir Kenneth Matheson)がマッケンジー兄弟に蒸溜所を売却。
1917年 第一次世界大戦に参戦したアメリカ軍向けの機雷工場の倉庫として使用するため、イギリス海軍が蒸溜所の熟成庫を接収。
1920年 機雷庫で爆発事故が起こり蒸溜所は壊滅的な損害を被る。ダルモアとイギリス海軍との間の事故の補償を巡る争いは、貴族院をも巻き込んで5年間続くことになる。
1922年 生産を再開。
1956年 フロアモルティングを停止し、サラディンボックスによるモルティングに切り替える。
1960年 マッケンジー・ブラザーズ(Mackenzie Brothers Co.)はダルモアの主要な顧客であったホワイト&マッカイ(Whyte & Mackay Ltd.)に合併される。
1966年 スチルを4基から8基へ増設。
1982年 蒸溜所でのモルティングを停止。
1990年 米アメリカン・ブランズ(American Brands、後のフォーチュン・ブランズ、現ビーム・サントリー)がホワイト&マッカイを買収。
1996年 アメリカン・ブランズ傘下のジム・ビーム・ブランズ(Jim Beam Brands)とホワイト&マッカイが合併しJBB Worldwideに名称変更。
2001年 MBOにより旧ホワイト&マッカイがJBBより独立。名称をキンダル・スピリッツ(Kyndal Spirits)に変更。
2002年 キンダル・スピリッツはホワイト&マッカイへ名称を戻す。
2007年 印ユナイテッド・スピリッツ(United Spirits Ltd.)がホワイト&マッカイを買収。
2014年 比エンペラドール(Emperador Distilleries)がホワイト&マッカイを買収。以後ダルモアはエンペラドール傘下にある。
雄鹿の紋章
ダルモアのボトルに大きくデザインされる雄鹿は、1960年まで蒸溜所のオーナーだったマッケンジー家の紋章による。
1263年、狩りの最中に雄鹿に襲われ負傷したスコットランド王ジョージ3世を、マッケンジー氏族の長コリンが雄鹿を槍で仕留め救出。この功績で氏族は領地と雄鹿の紋章を与えられた。
生産
古い原酒を良く保持している蒸溜所で、今世紀に入ってから1868年物の原酒を使ったウイスキーを発売したことがある。
現在のアルコール生産能力は年間430万リットル。
蒸溜所公式サイト: thedalmore.com