グレンファークラス蒸溜所

Glenfarclas Distillery

スコットランド・バンフシャー、バリンダロッホ近郊に位置するモルト蒸溜所。スペイサイド地域に分類される。
“Glenfarclas”は”Valley of the Green Glass”の意だとされる。

歴史
1790年代
より同地で蒸溜が行われていた記録が残る。
1836年  
ロバート・ヘイ(Robert Hay)により設立。
1865年  ロバート死去。グレンファークラス近隣の農場主であったジョン・グラント(John Grant)と息子のジョージ(Geroge Grant)が蒸溜所を£511.19s.0d(511ポンド19シリング)で購入し、ジョン・スミス(John Smith)へリースする。
1870年  ジョン・スミスは自ら設立したクラガンモア蒸溜所の運営の為にグレンファークラスからは手を引き、グラント親子はJ&Gグラント(J. & G. Grant Ltd.)を組織して蒸溜所の直接運営を始める。
1889年  ジョン・グラント死去。
1890年  ジョージ・グラント死去。妻のエルシー(Elsie Grant)が蒸溜所のライセンスを相続、2人の息子ジョンとジョージが運営する。
1895年  ジョンとジョージが蒸溜所のオーナーとなり、 悪名高きパティソン・エルダー(Pattison, Elder & Co.)と共同でグレンファークラス-グレンリベット・ディスティラリー(The Glenfarclas-Glenlivet Distillery Co. Ltd.)を組織。
1896年  蒸溜所の改築を開始。
1898年  パティソン破産。改築を終えたばかりのグレンファークラスは資金難に直面するが、ストックのウイスキーを売却あるいは抵当に入れるなどして破産を免れる。
1914年  ジョンが病気のため引退。
1949年  ジョージ死去。息子のジョージ・スコット(George Scott Grant)とジョン・ピーター(John Peter Grant)が蒸溜所を受け継ぐ。
1960年  スチルを2基から4基へ増設。
1968年  スコットランドの蒸溜所で初めてカスクストレングスのシングル・モルトを発売する。これは後に「グレンファークラス 105」となる。
1972年  フロアモルティングを停止。
1973年  ビジターセンターを設置。
1976年  スチルを6基へ増設。
2002年  ジョージ・スコット・グラント死去。ジョン・L・S・グラント(John L S. Grant)が後継者となる。

スペイサイド・リージョン
近年独立系ボトラーズから蒸溜所名が伏せられた「スペイサイド・リージョン(Speyside Region)」なるシングル・モルトが販売される事があるが、「スペイサイドに残る数少ない家族経営の蒸溜所」といった説明がされている場合はグレンファークラスの事を指していると考えてほぼ間違い無い。これは、グレンファークラスのグラント家の他にスペイサイドで蒸溜所の家族経営を続けるウィリアム・グラント&サンズ(グレンフィディック蒸溜所・バルヴェニー蒸溜所・キニンヴィー蒸溜所)が基本的にシングル・モルトの外販を行っていないため。

生産
現在のアルコール生産能力は年間350万リットル。