Glenfiddich Distillery
スコットランド・ダフタウンに位置する蒸溜所。スペイサイド地域に分類される。
蒸溜所は”Glenfiddich”の語源を「鹿の谷(the vale of deer)」を意味するスコットランド・ゲール語”gleann fiadh”からだとしてブランドロゴにも雄鹿をデザインしているのだが、スコットランド議会が発行した資料によれば正しくは「緑に囲まれた谷(the vale at the wood)」を意味する”gleann fhiodhaich”だとしている。またこの他”Fiddich”はかつてこの地に存在したピクト人の国「フィダッハ(Fidach)」から転じたものだとする説もある。
歴史
1886年 モートラック蒸溜所に20年間勤めたウィリアム・グラント(William Grant)により設立。蒸溜所の設備はカーデュ蒸溜所(Cardow Distillery)より購入。
1887年 クリスマスに蒸溜を開始。
1892年 蒸溜所の隣に新たにバルヴェニー蒸溜所を設立。
1898年 ウィリアムの蒸溜所最大の顧客であったパティソン(Pattison Ltd.)が破産。これを機に独自のブレンデッド・ウイスキー、スタンドファスト(Standfast、現在のグランツの前身)の販売を開始する。
1903年 ウィリアム・グラント・アンド・サンズ(William Grant & Sons)を組織。
1923年 ウィリアム死去。
1957年 三角のボトルの使用を開始。これは現在も使用され、グレンフィディックのアイコンとなっている。
1958年 フロアモルティングを停止。
1963年 世界で初めて「シングル・モルト・ウイスキー」の呼称を使用してシングル・モルトを発売。
1969年 スコットランドの蒸溜所では初となるビジターセンターを設置。
1974年 16基のスチルを増設。
2019年 15基のスチルを備える新たな蒸溜棟が完成予定。
生産
蒸溜にはウォッシュスチル(初溜釜)で生産されたローワイン(初溜液)を2種の異なるスピリットスチル(再溜釜)で再蒸溜させて混ぜ合わせる特殊な方法が用いられる。この為、蒸溜所は現在11基のウォッシュスチルに対して20基のスピリットスチルを備える。
またスチルは外注ではなく、ウィリアム・グラントに所属する職人達によって製造・維持されている。
現在のアルコール生産能力は年間1,365リットルでスコットランドのモルト蒸溜所最大。またシングル・モルトの売り上げも世界第1位を誇る(2016年実績)。