グレンタレット蒸溜所

Glenturret Distillery

スコットランド・パースシャー、ホッシュに位置するモルト蒸溜所。ハイランド地域に分類される。
現存するスコットランドの蒸溜所の中でも最古参の1つだと考えられている。
“Glenturret”の”Turret”の語源には諸説あり、「乾いた(Dry)」を意味するゲール語”Turraid”とする説(蒸溜所の近くを流れるタレット川(Turret Burn)は夏の間水位が下がる)や、「埋葬(Burial)」を意味する”Torraidh”からとする説がある。

歴史
1775年頃ホッシュ(Hosh)という名前の密造蒸溜所が設立される。これは現存するスコットランドの蒸溜所としては最も古い(ストラスアイラ蒸溜所の項参照)。
1818年  ジョン・ドラモンド(John Drummond)がライセンスを取得。
1826年  グレンタレットという名前の蒸溜所がホッシュ蒸溜所の近隣に設立される。この蒸溜所は1852年頃までに閉鎖される。
1852年  John McCallumが1874年までライセンス保有者となる。
1875年  Thomas Stewartが経営権を得る。「グレンタレット」という名前の権利を購入、蒸溜所名をグレンタレットに改名。
1903年  ミッチェル・ブラザーズ(Mitchell Bros Ltd.)が蒸溜所を買収。
1921年  アメリカの禁酒運動の広がりを受け生産を停止、蒸溜所はウイスキー倉庫としてのみ使用される。
1929年  ミッチェル・ブラザーズ破産。蒸溜設備は撤去され穀物倉庫となる。
1957年  ジェームス・ファーリー(James Farlie)が蒸溜所を購入、蒸溜所を再設備。スチルとマッシュタンはタリバーディン蒸溜所で使われていた物を流用。
1959年  生産を再開。
1981年  仏レミー・コアントロー(Rémy-Cointreau)が蒸溜所を買収。
1990年  ハイランド・ディスティラーズ(Highland Distillers)が蒸溜所を買収
1999年  エドリントン(Edrington)とウィリアム・グラント(William Grant & Sons)が、共同設立した1887カンパニー(出資比率エドリントン70%、ウィリアム・グラント30%)を通じてハイランド・ディスティラーズを買収。以後グレンタレットはエドリントン傘下にある。
2002年  ビジターセンター、フェイマス・グラウス・エクスペリンス(The Famous Grouse Experience)を設置。
2018年  エドリントンがグレンタレットを売却すると発表。

タウザー
スコットランドの蒸溜所には猫を防疫担当として(つまりネズミや鳥対策として)雇用する伝統がある。この猫達はウイスキー・キャットと呼ばれ、その中でも1963年から87年までグレンタレットに在籍した「タウザー(Towser)」は非常に名高い。
タウザーは仕留めた獲物を毎朝スチルハウスに持参する習慣があり、スチルマンによる記録から彼女は1日平均ネズミ約3匹、平均からの推測値で生涯通算28,899匹の戦果を挙げたとされている。この通算値は世界で最もネズミを狩った猫のものとしてギネスブックに掲載されている。
現在蒸溜所では彼女の銅像を目にする事ができる。

生産
アルコール生産能力は年間34万リットルと非常に小規模で、大手資本下にある蒸溜所としては最小だと思われる。