Macallan Distillery
スコットランド・クライゲラヒに位置するモルト蒸溜所。スペイサイド地域に分類される。
“Macallan”は「聖フィランの平原(Fillan’s plain)」を意味するスコットランド・ゲール語”magh Fhoalain”から。聖フィランは8世紀にスコットランドへ伝道したとされるアイルランド出身のキリスト教の聖人。
歴史
1824年 Alexander Reidがライセンスを取得。設立当初の蒸溜所名はエルキー蒸溜所(Elchies Distillery)。
1847年 Alexander死去。蒸溜所はJames Shearer PriestとJames Davidsonの手に渡る。
1868年 ジェイムズ・スチュアート(James Stuaret)が蒸溜所をリース、ライセンス所持者となる。蒸溜所改築。
1886年 スチュアートが蒸溜所を購入。
1892年 タリスカー蒸溜所の共同オーナーだったロデリック・ケンプ(Roderick Kemp)が蒸溜所を購入、増築。名称をマッカラン-グレンリベット蒸溜所(Macallan-Glenlivet Distillery)に変更。
1909年 ロデリック死去。蒸溜所は新たに設立されたロデリック・ケンプ・トラストの下に置かれ、以後もケンプ家によって運営される。
1954年 ポットスチルを5基に増設。
1965年 ポットスチルを12基に増設。
1966年 トラストを非公開有限責任会社(private limited company)に組織変更。
1968年 ロンドン証券取引所に上場。
1970年 社名をマッカラン-グレンリベットに変更。
1974年 ポットスチルを18基に増設。
1975年 ポットスチルを21基に増設。
1980年 蒸溜所名をマッカラン蒸溜所(Macallan Distillery)に変更。
1986年 サントリーが株式の25%を取得。
1996年 ハイランド・ディスティラーズ(Highland Distilleries)がサントリーの所有分を除いた全株式を取得。ケンプ家による経営が終了。
1999年 エドリントン(Edrington)とウィリアム・グラント(William Grant & Sons)が共同設立した1887カンパニーを通じてハイランド・ディスティラーズを買収。これによりマッカラン蒸溜所の実質的な株式の所有比率はエドリントン52.5%、サントリー25%、ウィリアム・グラント22.5%となり、蒸溜所はエドリントン傘下となる。
2009年 スチルを27基に増設。
2014年 新蒸溜所の建設を開始
2017年 新蒸溜所完成、試運転開始。旧蒸溜所での生産を停止。
2018年 正式に新蒸溜所へ移行する。
生産
設立以来生産された原酒の大半はブレンド用として供給されてきたが、1980年代初頭にシングル・モルトの販売を主とするよう舵を切る。以後そのシングル・モルトは極めて高い評価を得てきた。また市場に存在するボトルの価値の合計が最も高いブランドだとも言われ、希少なボトルはオークションで1,000万円を超える値段で取引されることもある。
スコットランドの蒸溜所では通常1基ずつのウォッシュスチル(初溜釜)とスピリットスチル(再蒸釜)を対にして用いるが、マッカランでは1基のウォッシュスチルに対して2基の小さなスピリットスチルを用いる。
2018年に完成した新蒸溜所のアルコール生産能力は年間1,500万リットルだと言われ、これはスコットランドのモルト蒸溜所の中では最大規模となる。(2017年まで稼働した旧蒸溜所の最終的なアルコール生産能力は年間1,100万リットルだった)