プルトニー蒸溜所

Pulteney Distillery

スコットランド・ハイランド(行政区)、ウィックに位置する蒸溜所。ハイランド地域に分類される。
ウィックは19世紀初頭にニシン漁の拠点として急発展した港町で、1810年にはハイランド・クリアランス(ブローラ蒸溜所の項を参照)で行き場を失った人々をニシン漁の労働力として迎え入れるため、町を横切るウィック川の南側にプルトニータウン(Pulteneytown)という居住区が新たに設置された。
この居住区の名前はウィックの発展に貢献したウィリアム・プルトニー(Sir William Pulteney)にちなんだもので、プルトニー蒸溜所はこの旧プルトニータウンに建設されたことから名付けられている。
また、2013年にウルフバーン蒸溜所が設立されるまでは、グレートブリテン島最北の蒸溜所だった。

歴史
1826年  ジェームス・ヘンダーソン(James Henderson)により設立。以後およそ一世紀近く、蒸溜所はヘンダーソン家によって運営される。
1920年  ジェイムス・ワトソン(James Watson)が蒸溜所を買収。
1922年  アメリカの影響を受け英国でも禁酒運動が活発化。同年5月、ウィック議会はアルコールの販売を禁止する法案を採決する。
1923年  ブキャナン・デュワー(Buchanan-Dewer)により買収。
1925年  ブキャナン・デュワーはDCL(Distillers Company Limited、現在のディアジオ)へ合併。
1930年  生産を停止。
1947年  ウィックの禁酒法が廃止される。
1951年  バルブレア蒸溜所のオーナーでもあった地元の弁護士ロバート・カミング(Robert Cumming)が蒸溜所を買収、生産を再開。
1955年  ハイラム・ウォーカー(Hiram Walker & Sons)が蒸溜所を買収。
1958年  蒸溜所改築。
1959年  フロアモルティングを停止。
1961年  アライド・ブルワリーズ(Allied Breweries、1994年よりアライド・ドメク)が蒸溜所を買収。
1995年  アライド・ドメクはプルトニーをインバー・ハウス・ディスティラーズ(Inver House Distillers)へ売却。
2001年  パシフィック・スピリッツ(Pacific Spirits)がインバー・ハウスを買収。
2006年  タイ・ビバレッジ(Thai Beverages plc)傘下のインターナショナル・ビバレッジ・ホールディングスがパシフィック・スピリッツを買収。以後現在までプルトニー蒸溜所はタイ・ビバレッジの傘下にある。
2012年  「オールド・プルトニー 21年」がジム・マーレイによりワールド・ベスト・ウイスキーに選ばれる。

生産
シングル・モルトのブランド名には「オールド・プルトニー(Old Pulteney)」を用いる。
スチルは2基のみで、現在のアルコール生産能力は年間160万リットル。

蒸溜所公式サイト: oldpulteney.com