タグ別アーカイブ: Cardhu

ディアジオ・スペシャル・リリース2019 販売開始

sr-image.png

source : diageo.com

ディアジオが年に1度リリースする限定ウイスキーシリーズ、ディアジオ・スペシャル・リリースが今年も発売された。
今年は全てシングル・モルト・ウイスキーとなり、「レア・バイ・ネイチャー (Rare by Nature)」のテーマの元、各ウイスキーのラベルに共通のデザインを施す同リリースとしては初の試みも行われている。
リリース内容は以下の8本。

カーデュ 14年 (Cardhu 14 Year Old)
アモンティリャード・シェリー・ホグスヘッドで2年後熟。アルコール度数55%。

クラガンモア 12年 (Cragganmore 12 Year Old)
ピーテッド原酒を使用、リフィルアメリカンオークカスクで熟成。58.4%。

ダルウィニー 30年 (Dalwhinnie 30 Year Old)
リフィルホグスヘッドとシェリーバットを使用。54.7%。

ラガヴーリン 12年 (Lagavulin 12 Year Old)
リフィルアメリカンオークカスクで熟成。56.5%。

モートラック 26年 (Mortlach 26 Year Old)
ファーストフィルのPXとオロロソシェリーカスクを使用。53.3%。

ピティヴァイク 1989 29年 (Pittyvaich 1989 29 Year Old)
PXシェリーとオロロソシェリーカスクで熟成。51.4%。

タリスカー 15年 (Talisker 15 Year Old)
チャードアメリカンオークホグスヘッドで熟成。57.3%。

シングルトン・オブ・グレン・オード 18年 (The Singleton of Glen Ord 18 Year Old)
チャードアメリカンオークホグスヘッドで熟成。55%。

例年通りであれば、日本での発売は来年となる。

2019 Special Releases Collection Unveiled | Diageo

シリーズコンプを目指される方は、「シングルトン」は個人輸入で確保された方がいいかもしれません。
恐らく日本では同ブランドの販売をMHDではなくキリンビールが手掛けている関係から、リリース2018ではシングルトンのみ国内販売がありませんでした。

ジョニーウォーカー、スコッチの4地域にフォーカスした限定ブラックラベル4種をリリース

Johnnie-Walker-Black-Label-Orgin-Series-Bottle-and-box-Lineup-1

source : thespiritsbusiness.com

ジョニーウォーカーは、スペイサイド、ハイランドなどのスコットランドのウイスキー生産地域区分ごとに焦点を当て、それぞれの地域の原酒のみをブレンドする限定シリーズ「ジョニーウォーカー ブラックラベル オリジン」4種を発売する。

ジョニーウォーカー ブラックラベル ハイランド・オリジン(Johnnie Walker Black Rabel Highlands Origin)」はクライヌリッシュとティーニニックを使用したブレンデッド・モルト・ウイスキー。
アイラ・オリジン(Islay Origin)」はラガヴーリンとカリラによるブレンデッド・モルト。
スペイサイド・オリジン(Speyside Origin)」はカーデュとグレンデュランを使用したブレンデッド・モルト。
「ローランド・オリジン(Lowland Origin)」はグレンキンチーとキャメロンブリッジを使用したブレンデッド・ウイスキーとなっている。

全て熟成年数12年、アルコール度数は42%で、価格は1リットルサイズ£35に設定されている。
今月よりまず免税店市場で発売され、その後10月に「スペイサイド」と「ローランド」の2種が一部地域で、来年には4種全てが世界中で販売される。

Johnnie Walker Black Label Origin Unveiled | Scotchwhisky.com
Johnnie Walker Range Explores Scotch Regions | The Spirits Business

ラインナップに「キャンベルタウン」が無いのは、ジョニーウォーカーを製造するディアジオが現在キャンベルタウン地域には蒸溜所を所有していないからです。
またグレートブリテン島本土とアイラ島以外の蒸溜所をまとめて「アイランド」として分類することも多いですが、そうした場合ディアジオ傘下の「アイランド」蒸溜所はタリスカーだけですので、ブレンドはできないことになります。

Winter is Here!「ホワイトウォーカー by ジョニーウォーカー」リリース

johnnie-walker-white-walker-2

source : diageo.com

今年5月に発売が告知されていた、米HBOの大ヒットテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(GOT)」とのコラボレーションによる限定ジョニーウォーカー、「ホワイト・ウォーカー by ジョニーウォーカー(White Walker by Johnnie Walker)」がリリースされた。

キーモルトにクライヌリッシュとカーデュのモルト原酒を使用したオリジナルブレンドで、「ホワイト・ウォーカー」のイメージに合わせ、低温での飲用を想定し構成されているようだ。
公式サイトではストレートでの飲用の際は、冷凍庫で冷やしておくことを推奨している。
またボトル側面には、冷凍庫などで冷やされ温度が下がると”WINTER IS HERE”の文字が浮かび上がる仕掛けも施されている。

アメリカではすでに販売が始まっており、他のいくつかの国と空港免税店市場でも販売されるようだが、具体的にどの国で販売されるかは今のところ不明だ。

アルコール度数は41.7%、北米での価格は容量750mlで$36となっている。

White Walker by Johnnie Walker and The Game of Thrones Single Malt Scotch Whisky Collection Unveiled | Diageo
White Walker by Johnnie Walker | Johnnie Walker

ゲーム・オブ・スローンズとのコラボシングルモルト来たる

c44c0920e1e343f2390df22a97b7b438

source : scotchwhisky.com

先日、米HBOの大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」とジョニーウォーカーのコラボレーションボトル「ホワイトウォーカー」の発売が予告されたが、ジョニーウォーカーを所有する酒類大手ディアジオは更に、同ドラマとのコラボレーションの元、「ゲーム・オブ・スローンズ シングル・モルト・スコッチ・ウイスキー・コレクション(Game of Thrones Single Malt Scotch Whisky Collection)」を発売すると発表した。
これはディアジオ傘下の蒸溜所から選ばれた8つのシングル・モルトそれぞれに、ゲーム・オブ・スローンズの劇中に登場する七王国の名家とナイツ・ウォッチをイメージして割り当てた物。
中身の詳細についてはまだ公式にはアナウンスされていないものの、TTB(米国アルコール・タバコ税貿易管理局)に登録されたラベル情報から、割り当ては以下のようになると明らかになっている。

GoT

スターク家とラニスター家  source : ttbonline.gov

“スターク家” ダルウィニー ウィンターズ・フロスト(“House Stark” Dalwhinnie Winter’s Frost)
43%
“ラニスター家” ラガヴーリン 9年(“House Lannister” Lagavulin Aged 9 Years)
46%
“ターガリエン家” カーデュ ゴールド・リザーブ(“House Targaryen” Cardhu Gold Reserve)
40%
“バラシオン家” ロイヤル・ロッホナガー 12年(“House Baratheon” Royal Lochnagar Aged 12 Years)
40%
“タリー家” シングルトン・オブ・グレンデュラン セレクト(“House Tully” The Singleton of Glendullan Select)
40%
“グレイジョイ家” タリスカー セレクト・リザーブ(“House Grayjoy” Talisker Select Reserve)
45.8%
“タイレル家” クライヌリッシュ リザーブ(“House Tyrell” Clynelish Reserve)
51.2%
“ナイツ・ウォッチ” オーバン ベイ・リザーブ(“The Night’s Watch” Oban Bay Reserve)
43%

容量は全て750ml。
上記の内、ラガヴーリン(ラニスター家)とクライヌリッシュ(タイレル家)については通常のラインナップには無いオリジナルの構成だが、他の6つについては既存のボトルのリネームではないかと思われる(カーデュに至っては同名のウイスキーがラインナップに存在する)。

「ホワイトウォーカー」に続き今秋後半に米国で発売される予定。
米国外での販売は現時点では不明。

ディアジオは話題となったジョニーウォーカーの女性版「ジェーンウォーカー」を今年3月に米国限定で発売するなど、米国市場へ注力しているようだ。
これは米国でバーボンやアイリッシュ・ウイスキーが大きくシェアを伸ばし、スコッチ・ウイスキーはそれらの後塵を拝していることが原因だと思われる。

Game of Thrones Single Malts are Coming | Scotchwhisky.com
ラガヴーリン公式ツイッター @LagavulinWhisky

TTBからの情報により、元記事を加筆・修正しました。

ジョニーウォーカー、免税店向け商品「ブラックラベル トリプルカスクエディション」発売

Johnnie_Walker_triple_Cask

source : thespiritsbusiness.com

ジョニーウォーカーより免税店市場向けの新商品「ジョニーウォーカー ブラックラベル トリプルカスクエディション(Johnnie Walker Black Label Triple Cask Edition)」がリリースされた。
ブレア・アソール、カーデュ、ストラスミルの3つスペイサイドモルトをキーモルトとし、カリビアンラムカスク、バーボンカスク、スコッチウイスキーバレル(詳細不明)の3種のカスクを使って熟成、ブレンドしたもの。
度数40%、容量1リットル、価格£28で、旅行小売最大手デュフリー(Dufry/スイス)が運営する免税店での独占販売となる。

Johnnie Walker Triple Cask Launches in Travel Retail | The Spirits Business

2018年 免税店向けリリース一覧

ディアジオ、スコッチ・ウイスキー法の改定を模索か?(その2)

(その1より続く)

遡ること2003年、ディアジオ有するカーデュ(Cardhu)蒸溜所のシングル・モルトが、主にスペイン市場での人気から原酒不足に陥った。
ディアジオは対応策として、カーデュのモルト原酒に別の傘下蒸溜所であるグレンデュラン(Glendullan)のモルト原酒をブレンドした物を「カーデュ ピュア・モルト」として販売したのだが、これが物議を醸す事になる。
当時「ピュア・モルト(Pure Malt)」という表記に法的な規定は無く、現在の「シングル・モルト(単一の蒸溜所のモルト原酒からなる)」と「ブレンデッド・モルト(複数の蒸溜所のモルト原酒のブレンドによる)」両方の意味に用いられていた。
「カーデュ ピュア・モルト」は品薄になった「カーデュ シングル・モルト」と非常によく似た外観であり(英語版Wikipediaのカーデュ蒸溜所の項に写真有り)、上記のように「シングル・モルト」の意味にもとれる商品名であったため、消費者の混同を故意に狙っているとした批判が集中することになり、最終的にディアジオはこの「対応策」を販売中止にせざるを得なくなる。

そして話はここで終わりとはならない。
「ピュア・モルト」の販売中止だけでは矛を収めるに不十分とした人々がいたのだ。
それはもちろん、SWAだ。

かねてよりスコッチ・ウイスキー法の厳格化を主張していたSWAはこの機会を逃さなかった。
SWAは「ピュア・モルト」事件のような事態の再発防止を旗印に、ピュア・モルト表記の使用禁止とシングル・モルト、ブレンデッド・モルトなどのスコッチ・ウイスキーの分類の定義を盛り込んだ新たなスコッチ・ウイスキー法の制定を議会に働きかける。
そしてこの法案にはその時点ではまだ業界内の自主規制に過ぎなかった様々な項目も含まれており、内容が厳しすぎるといった反対の声もあったものの、2009年、前項でも言及した”The Scotch Whisky Regulation 2009″として制定・施行されることになった。

つまり、ディアジオがその内容を変えたがっている現在のスコッチ・ウイスキー法は、他でもないディアジオの失態がその制定の遠因だということになる。
そのディアジオが公に法の改定を主張すればSWAがどんな反応を示すかは容易に想像がつく。
秘密裏に事を進めつつもSWAの出方を伺っているのにはこういった事情があるわけだ。

今回のWSJの報道でディアジオは計画の修正を迫られるだろう。
だがこれまでの経緯から考えて、これは元々ディアジオにとって分の悪い戦いだ。
ディアジオもSWAと同様、今回の件についての詳細なコメントは出していないが、代わりに発表した声明の中で「SWAと共に伝統と革新のバランスが取れるアイデアを探していきたい」としている。
極秘に法の改定を画策していた企業の言い分としては少々白々しくもあるが、結局のところこれを実行する以外、解決策は無さそうだ。

The Wall Street Journalの原記事
If You’re a Purist About Scotch Whisky You Might Find This Hard to Swallow | The Wall Street Journal
他にこの件を報じた記事は
Is Diageo Trying to Rewrite the Rules of Scotch? | Whisky Advocate
Diageo’s Secret Move to Amend Scotch Rules | Scotchwhisky.com

スコッチ・ウイスキー法の歴史と解説(日本語で読める最良の物です)
スコッチウイスキーと法律-その1 | 稲富博士のスコッチノート
スコッチウイスキーと法律-その2 | 稲富博士のスコッチノート
スコッチウイスキーと法律-その3 | 稲富博士のスコッチノート

Diageo / The Scotch Whisky Association